パーソナルコンピュータ(PC)と私

2024年3月17日(日曜日)

帰宅して駐車場から家までの1〜2分の道すがら、沈丁花の甘い香りが漂い、春の訪れを実感しました。

先日、母校佐野高校の同窓会誌「旭城」に一文を掲載しましたので、全くパーソナルな話で恐縮ですが、その文章に少し注釈を加えて引用させていただきます。

1982年、PCが世に出始めた頃、NECのPC9801を購入しました。雑誌に掲載された(データベースとかゲームとかの)プログラムを入力して楽しんでいました。当時は外部記憶装置はテープレコーダでした。

1984年、大学で実験をするようになり、PCでデータ解析をしました。プログラムはBasicで書いた自作です。しかし、1986年頃、MacintoshのGUI(注 graphical user interface:現在私たちが使っているマウスをクリックしてコンピュータとやり取りをする方法、一方、それまでのPC9801などは1行1行命令文、選択肢をキーボードから文字で入力していくcharacter use interface CUIでした)、フォントや描画の格段の美しさに圧倒され、Macintosh IIcxがメインマシンになり以後ずっとMacを使っています。当時使っていたソフトウェアはデータの収集はIgor、データ解析はAshton-Tate社のFullImpactのマクロを使って、統計処理はStatView、プレゼンテーションはAldus Persuasionというラインナップでした。いずれも素晴らしいソフトウェアでしたが、出来の悪いMicrosoftのソフトにシェアを奪われ、また、会社自体がM&Aで他者に吸収されソフトウエアのアップデートが停止したりでほぼ消滅してしまいました。

時代は、インターネット時代に。初めはCUIつまりテキストベースでしたが、1994年にはGUIのNetscape Navigatorが出現、現在のブラウザの基本形ができました。しかし、Microsoft ExplorerのOSとの抱き合わせ販売などによりシェアを奪われ、1998年に終了、その系譜は現在のFirefoxへと繋がっています。

インターネットにより文献検索が大きく変わりました。それまでは数十巻にもなる文献のリストIndex Medicusを使った検索で、学生時代にはIndex Medicusを使って目的の文献を探す課題などが授業で行われましたが、インターネット時代になってからはMedline、そして現在も続くPubMedでオンライン検索となり、文献検索にかかる時間は2桁から3桁短縮されました。

また、2005年にYouTubeが出現、当初100本だった動画は現在1兆1千万本まで増加、質的にも格段に向上しました。医学を含む科学、文学、歴史、経済、政治など、さまざまな分野のその道の第一人者から生の声で知識を得ることができます。趣味のクラシック音楽の分野では写真と録音だけで知っていた往年の名演奏家が実際に演奏する姿を見ることができるようになりました。最近、実演のビデオを見られるようになった往年の演奏家として指揮者ではエルネスト・アンセルメ、サー・トマス・ビーチャム、アンドレ・クリュイタンスなどがいて、予想通りの指揮ぶりだったり、予想とは違っていてヘーっと驚いたりとても興味深く見ることができます。

今年はAIの年となりました。以前にもAIの話題を書きましたが、日々、生成AIが出現、アップデートされ、プラグインが次から次へと出現します。文献収集、データ検索、解析、文書やグラフィックスの作成などが簡単にできます。プログラミングでさえ基礎知識がなくともAIに頼めるようになりました。

現在、AIは自身でプログラムを書き、実行するリプロダクションのところまで来ました。自立した意思を持つ寸前まで来ています。人間は何をしていけば良いのか真剣に考えなければなりません。

明けましておめでとうございます

2024年1月2日(火曜日)

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年はロシアのウクライナ侵攻が2年目に入り、その上に10月にはパレスチナ・イスラエル戦争が勃発し、世界はますます混沌とした状況になってきました。

日本でも正月早々、能登半島が大地震に見舞われました。リアルタイムにTVを見ていてNHKの女性アナウンサーが「引き返したりしないこと!」「今すぐ逃げること!」という強い命令口調のアナウンスをしていました。このような言葉をアナウンサーから聞くのは初めての体験で、非常にインパクトがありました。災害時に被災地の人たちに危機感を強くしてもらうための良い方法だと思いました。

これから世界はどうなってゆくのかでしょうか?

こんな時代に自分にできることは何か考えてゆきたいと思います。まずは手始めに身体を健康に保ち、不測の事態に対応できるよう準備したいと思います。

皆様もどうぞ健康にご留意いただき、平和な1年が送れますようにお祈り申し上げます。

追伸

この文章を書いたすぐ後に羽田空港で日本航空機と海上保安庁機が衝突炎上するニュースが入ってきました。「メーデー」という飛行機事故の再現検証番組をよく見ているのですが、まさに「メーデー」そのものでした。何らかの管制上のミスと思われますが、それにしてもあれだけの火災で、日本航空機のおよそ380人の全員が脱出できたのは奇跡としか言いようがありません。本当に素晴らしい待避行動だったに違いないと思います。

ロバート・マクナマラ

2023年6月11日(日曜日)

週末、撮りためてあるTVの録画を見るのが私の楽しみの一つなのですが、その中の一本、「映像の世紀バタフライエフェクト ベトナム戦争 マクナマラの誤謬(ごびゅう)」がとても良かったのでそのことについて書きたいと思います。

ロバート・マクナマラは1961年から1968年にかけてアメリカ合衆国の国防長官を務めており、私が子供の頃、TVのニュースで「マクナマラ長官」と言っているのをよく覚えています。

ケネディーの大統領就任とともに国防長官への就任を要請され、後にBest and Brightestとのちに呼ばれ、ケネディー政権を支えた若くて優秀な閣僚の一人でした。

番組は彼が空軍将校として第二次大戦末期の日本に対してヨーロッパ戦線のB-17を転用するよりも、新たにB-29を大量生産し、1万メートル上空から爆撃する方が対費用効果が優れていると提言したという紹介から始まります。(ただし、カーティス・ルメイが行った日本の都市への無差別爆撃に対しては倫理的に問題があると抗議したそうです。)

第二次大戦が終わり退役してフォード社に入り、商品の企画、ラインの効率化によりヒット車「ファルコン」を生み出し、GMに対して劣勢だったフォード社を建て直し、フォード一族以外で初の社長になりました。

社長になって5週間目に大統領に就任したケネディーから国防長官への就任を要請され、迷いはあったものの要請を受け、国防長官に就任しました。

国防長官としては、文民統制を実現し、データのコンピュータ化などによる防衛費の削減に手腕を振るいます。

この頃、アメリカは北ベトナムによるベトナム全体の共産化とそれに引き続くアジア全体の共産化(いわゆるドミノ理論)を危惧し、南ベトナムに軍事顧問団を送っておりました。彼は北ベトナム制圧は簡単にできると考え、軍の増派を決めます。しかし、予測は外れ、戦局は好転しませんでした。

彼は南ベトナムを訪問し、南ベトナム政府が国民から信頼されていないことを確信し、ケネディー大統領に撤退を進言します。大統領はそれを了解し、2年間で全ての米軍を撤退させることを決めます。その翌月、ケネディー大統領は暗殺されます。

その後を継いだジョンソン大統領はベトナム介入継続派で、撤兵を白紙に戻します。マクナマラは国民に選ばれた大統領に仕え、その政策を実行する立場にあるという考えから、大統領の意向に従い、トンキン湾事件を口実にベトナムに軍事介入して行きます。

敵兵の死者数ボディカウント(body count)、キルレシオ(kill ratio)などの数量化に基づく数値目標を作り戦局の好転を測りますが、一向に好転の兆しが見えません。

たびたびベトナムを視察して、増派にもかかわらず一向に戦局が好転しないことを確信した彼は、ジョンソン大統領に軍事以外の政治的な決着を進言しますが、大統領に拒絶されます。

結局、戦争継続を求める大統領と対立し、国防長官を退任しました。退任のスピーチで何も言えず、「別の機会に話します」としか言えなかった彼の姿は少し可哀想な感じもしました。

とにかく優秀な人で、与えられた仕事に自分の能力を使い尽くした人だと思います。彼は自分の考えとは違う考えの上司にも誠実に尽くす人でした。自分であれば、さっさと辞めたかなと思いますが、違う考えの上司でも自分が仕えることにより少しでも状況を良い方向に向けられたらと考えたのかもしれません。

彼の人生から色々なことを考えさせられる良い番組でした。

この文章を書いてまもなく、ジョンソン大統領時代の嘘にまみれたベトナム政策についてペンタゴンの内部情報をリークしたいわゆるペンタゴン・ペーパーズの告発者ダニエル・エルスバーグ氏が亡くなられたというニュースが入ってきました。彼が予測される大きな困難に立ち向かい、告発を行った勇気、倫理観に驚嘆します。また、その後大変な苦労をされたことと思います。心からご冥福をお祈りいたします。(2023年6月17日追記)

早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)に行ってきました

2023年5月10日(水曜日)

皆様、ゴールデンウィークはどのようにお過ごしになりましたでしょうか。

私は、連休中に以前から行きたかった早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)に行ってきました。村上春樹氏については以前にもこのブログで書いたことがあります。(ピーターキャットのこと

早稲田大学の正門から入ってすぐを右手に折れ、1分ほどで真っ白な建物があり、一見カフェのようでちょっとわからなかったのですが、係の方に尋ねてみるとそこが目指す村上春樹ライブラリーの地下1階の出口でした。

階段を登り1段上の1階エントランスから建物に入るとすぐに先程の地下1階に降りて行く階段があります。その両側の壁が天井まで伸びる書架になっていて、おそらく村上春樹氏の蔵書と思われる書籍が並んでいます。階段の左半分は腰掛けて本を読めるようになっています。階段を降りた地下には大きなオブジェがあり、ラウンジ、カフェがありました。

1階にもどりエントランスから見て階段の左手には氏の著作が翻訳なども含めてずらっと並んでいます。その奥からぐるっと回って階段の右手に行くとオーディオルームがあり、ソファーが置かれ、ゆったりとした空間にジャズが流れています。このオーディオシステムも村上家と同じもののようです。

地下1階、1階、2階と館内を散策し、あとは氏の蔵書の中から私が今後読んでみたいと思った本を携帯アプリに記録しました。

村上氏の蔵書はそれほど特殊な本が多いわけではなく、心理学の本、食べ物やアルコールに関する本、音楽の本、江戸を扱った本などが目立ちました。

村上春樹氏のファンの方は多いと思いますが、ファンの方は一度行ってご覧になるのが宜しいと思います。予約外でも入れるようですが、定員が決められているので、ホームページ(https://www.waseda.jp/culture/wihl/)から予約をするとスムーズに入館できます。

ChatGPTって何?人工知能が自然言語を理解する最新技術について

2023年2月27日(月曜日)

こんにちは!今回はChatGPTを紹介します。

まず、ChatGPTとは何かについて説明します。ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な言語モデルの1つです。このモデルは、自然言語処理タスクにおいて高い精度を発揮し、人間のように文章を理解し、自然な応答を生成することができます。

ChatGPTは、様々な分野で活用されています。例えば、カスタマーサポート、チャットボット、自動翻訳、文章生成などです。また、ChatGPTを用いた自然言語生成技術は、新しい文芸形式やゲームの開発にも応用されています。

ChatGPTは、大量のデータを学習することによって高い精度を発揮します。これによって、ChatGPTは人間に近い自然な応答を生成することができます。ChatGPTは、人間のように文章を理解し、意味を理解して応答することができます。

ChatGPTは、今後ますます多くの分野で活躍することが期待されています。ChatGPTを用いた自然言語処理技術の進歩によって、私たちの生活がより快適になることが期待されます。

以上が、ChatGPTについての簡単な紹介です。ChatGPTの可能性は無限大であり、今後ますます多くの人々に利用されることが期待されます。

実は、種明かしをしますと、ここから上の文章はChatGPTに「chatGPTについて紹介するブログを作って」と入力してその結果返ってきた文章をはじめの一節のみ「こんにちは!ChatGPTについて紹介するブログについてお手伝いします。」から「こんにちは!今回はChatGPTを紹介します。」に書き換えただけの文章です。タイトルも「上の文章のタイトルを考えて」と入力して得られた返事「ChatGPTとは?自然言語処理技術の未来を担う言語モデルについて」が少し硬いので、「もう少しわかりやすく」と入力して返って来た答えのままです。

それからタイトルの絵もDall-EというAIに「surrealistic oil painting introducing chatGPT」と入力し作ってもらったものです。

ここまで診療前の15分間ほどでできました。

すごいと思った方は、下の動画がめちゃくちゃわかりやすいのでぜひご覧になって下さい。

バート・バカラックを偲んで

UNSPECIFIED – CIRCA 1970: Photo of Burt Bacharach Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images

2023年2月12日(日曜日)

軽妙なフリューゲルホーンや流麗なストリングスのサウンド、洗練されたコード進行による数々の名曲を生み出した、20世紀のポピュラー音楽の巨人、バート・バカラックが2月8日に94歳でご逝去されました。

以前にもこのブログでバカラックを取り上げたのですが、気がつくとすでに10年になっていました。(https://yokozukanet.wordpress.com/2019/11/03/バート・バカラック%E3%80%80アルフィー/

ご冥福を祈って、一曲アップしようと思います。

Alfie, Close to You, Do You Know the Way to San Jose, I Say a Little Prayer, I Never Fall in Love Again, The Look of Love, Raindrops Keep Fallin’ on My Head, Walk on Byなどなど数多くの名曲の中から、どの曲にしようか大変迷うところではありますが、再度、Alfieの動画をアップさせていただきます。

初めの動画はAlfieが作られた1960年代Cilla Blackのヴォーカルによるもので、ピアノを弾きながら指揮をしているのが若き日のバカラックと思われます。

2番目の動画はバカラック84歳時の自作自演の動画です。

それぞれに素晴らしい演奏だと思います。

2つの動画を並べてみて私は人生がとても短いものだと感じました。皆様はいかがお感じになるのでしょうか?

バカラックには先にも上げましたようにAlfie以外に数々の名曲がありますので、この際、YouTubeをBurt Bachalachと検索して、色々な曲をお聞きになってはいかがでしょうか?

ラフマニノフ生誕150年

2023年1月9日(月曜日)

新年あけましておめでとうございます。

コロナ禍も3年近く経ちますが、未だ終息の見通しが立たない状態が続いております。皆様におかれましてはくれぐれも感染にご注意ください。

そんな中、作曲家ラフマニノフが1873年4月1日生まれですので今年が生誕150年に当たります。

ラフマニノフといえばヴォカリーズ(正確には「14のロマンス」第14曲、作品34の14)が最も有名な曲かもしれません。

ラフマニノフの曲は上の動画でもお分かりいただけるように、とてもロマンティックで現代に住む我々の憂愁といった感情を表現してくれているようでとても身近に感じる作曲家です。

もう一つ彼の有名曲といえばピアノ協奏曲第2番があります。これはデビッド・リーン監督の「逢い引き」という映画で使われ有名になりました。次の動画はピアノのヴィルトゥオーソでもあったラフマニノフの自作自演の録音です。

個人的にはピアノ協奏曲3番の方が好みです。特に曲の冒頭、たった2小節のオーケストラの前奏に導かれてピアノがユニゾンでテーマを奏でる部分のつぶやくようなとても内省的な感情がとても好きです。(譜例)

20世紀の大ピアニストウラディミール・ホロヴィッツによるこの曲の演奏です。彼はこの曲を「私の曲」といっていたそうです。

おそらく自分のために過去の名曲を編曲したパラフレーズ物もとても素敵です。次の動画はビゼーの「アルルの女」第一組曲からメヌエットをラフマニノフが編曲したものです。

また、逆にラフマニノフの曲を他者が編曲したものにも大変良い曲があります。次の動画はラフマニノフの「6つのロマンス」 作品38の第3曲「ひなぎく」を20世紀の大ヴァイオリニスト、クライスラーが編曲したものです。こちらも20世紀の大ヴァイオリニスト、ハイフェッツ晩年の演奏です。

ラフマニノフにはこのほかに数々の名曲がありますが、私もまだ十分には探求しておりませんので、今年はラフマニノフをテーマに色々な曲を聴き込んでいきたいと思います。

VOCES8

2022年12月28日(水曜日)

今年もあと数日を残すのみとなりました。今日の午前で今年の診療を終了し、ほっと一息しているところです。

今日はエルガーの雰囲気かなということで、セレナーデからぼんやりとYouTubeを見ていますと、エニグマ変奏曲が流れてきて、その次にコリン・デイビス、ロンドン交響楽団による同じ曲の第9変奏、ニムロッドが流れてきました。ニムロッドはとても感動的な曲で、単独でも演奏されることも多く、色々な記念式典でも使われることが多いそうです。2013年にギリシャ国立交響楽団が政府の財政難のために解散となり、最後に演奏したのもこの曲でした。

話が少し逸れてしまいましたが、やはりこんないい曲は楽譜を見ながら聞こうと、imslpの楽譜を見ながら、次の動画を探していると、ヴォーカルグループによるニムロッドがリストアップされていて、ちょっと面白そうかなと興味本位に聞き始めました。聴き始めて初めての音が出た瞬間、もうびっくり、アンサンブルは完璧で、その後の音楽もニムロッドの高貴な精神を歌い上げた超名演でした。こんなグループがあったのか、もっと早く知っていればよかったと思うと同時に、たった8人でオーケストラの団員100人の力に勝るとも劣らない、人の声の力の凄さを実感しました。

このグループの名はVOCES8、イギリスの8人組のアカペラグループで、元々ルネッサンス期の音楽を演奏するグループのようです。その後、スタンダードはてはサイモンとガーファンクルなどのポピュラーにまで範囲を広げて歌っているようです。

以前にもこのブログに取り上げたThe Singers Unlimitedなきあと、それを引き継ぐようなアカペラのボーカルグループがないなと嘆いておりましたが、今日、突然、素晴らしいアカペラのグループを発見することができ嬉しい限りです。The Singers Unlimitedと同様、ポピュラーの曲の編曲も素晴らしく、本当にいいグループを探し当てることができました。今年一番の収穫かもしれません。

次にアップする曲はLondon by Nightです。この演奏はThe Singers UnlimitedのGene Pueringの編曲を使っていて、彼らはどこかでThe Singeres Unlimitedの影響を受けているのだと思います。

同じ編曲のThe Singers Unlimitedによるオリジナルバージョンです。

こちらもまた、同じ編曲とはいえポピュラー寄りの違ったテイストですのでぜひ比べて聴いてみてください。アカペラのグループを一つの線に並べた時にThe Singers Unlimitedよりかなりクラシック寄りに位置付けられ、The King’s Singersとほぼ同じかややポピュラー側によったグループだと思います。

VOCES8の清らかな歌声を聴きながら、今年を締めくくり、皆様の新年のご健勝をお祈りしたいと思います。

前田妃奈さん「第16回ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール」で優勝

2022年11月19日土曜日

2022年10月7日から21日かけて行われた第16回ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際コンクールで日本の前田妃奈さんが優勝しました。コンクールの模様はYouTubeで配信されていましたので、ちょっとだけ覗いてみたら前田妃奈さんがちょうどブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾いていました、ちょっと覗くだけのつもりでしたが、第1楽章のヴァイオリンソロの始まりの部分を聞いてとても素晴らしい演奏に惹きつけられ、そのまま、曲の最後まで聞いてしまいました。ちょど聴き始めの第1楽章のヴァイオリンのソロの開始の部分、2オクターブ以上をまさに火のように上昇、下降する音型をしっかりを足を据えて、上半身は微動だにせず、少し顔を揺らしながら弾いている姿は20世紀の大ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフとそっくりに見えました。

彼女の音楽はビブラートがとても綺麗で音が魅力的です。緩やかなテンポでヴァイオリンが歌うときの音楽の表情がとても美しい。それよりも何よりも彼女の音楽には強い説得力があり、彼女の感じた音楽の精神がヴァイオリンの音に乗せて聴衆にまっすぐに伝わるところがすごいと思います。彼女の中に音楽がいっぱい詰まっているからだと思います。将来がとても楽しみです。

以下のYouTubeのリンクから彼女の音楽をぜひお聞きください。

まずは本選のブラームスのヴァイオリン協奏曲。これはとても素晴らしい演奏です。演奏後、前田さん、聴衆、指揮者、オーケストラのメンバー、みんなの幸福な表情がこの演奏の素晴らしさを伝えていると思います。

ちなみにこの演奏で使われていたのはストラディヴァリウス1715年製ヴァイオリン「ヨアヒム」だと思われます。この協奏曲の作曲に深く関わり、またこの曲の初演者であるハンガリーのヴァイオリン奏者ヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)が所有していたことから「ヨアヒム」と名付けられています。ヨアヒムの所有した3挺の1715年製のストラディヴァリウス・ヴァイオリンのうちのひとつで、ヨアヒムはブダペストでこのヴァイオリンを購入し、ヨアヒムの死後、ヨアヒムの兄弟の孫娘で、ヨアヒムからヴァイオリンのレッスンを受けていたアディラ・ダラーニ(d’Aranyi)に遺贈され、アディラはアレクサンダー・ファッチーリ氏と結婚し、それ以来、このヴァイオリンはファッチーリ家が所有、日本音楽財団が2000年9月にファッチーリ家からこの楽器を購入、2022年8月31日から、前田妃奈さんへ貸与されました。これも何かの縁ですね。(https://www.nmf.or.jp/instruments/post_283.html

次は、コンクールの名前になっているヴィエニアフスキの協奏曲第2番。これも素晴らしい演奏ですが、曲そのものがやはりブラームスには敵わないですね。

次はモーツアルトのシンフォニアコンチェルタンテ

次の2つの動画はソロ及びピアノとの共演で1次予選と2次予選の映像です。

彼女が13歳の時のバッハの協奏曲2番です。この頃からはすでに素晴らしいヴァイオリニストですね。

このほかにもYouTubeを「Hina Maeda」で検索すると、多くの動画がアップされています。ぜひ、お聞きいただき、彼女を応援していただければと思います。

ちなみに彼女のTwitterを見ると20歳の女子大生らしい言葉が並んでいて、さらに親近感が湧くと思います。(https://twitter.com/HinaMaeda_vn

音楽に寄せて

2022年7月3日(日曜日)

今日は久々差し迫った仕事もなく、朝からのんびりとYouTubeを見ております。私は音楽関連、歴史関連、食べ物関連の動画をよく見ます。YouTubeを検索しますと、この数年間、これまで見ることのできなかったような珍しい曲や演奏の動画が加わったり、医学関連でいうと一般向けの内容だけでなく、専門家が視聴するようなコンテンツが激増しており、充実が著しいと思います。

今回はその中から最近注目している車田和寿さんの「音楽に寄せて」というシリーズを紹介したいと思います。https://www.youtube.com/channel/UCfMU7OwDiMZ5yUOZ_dHlCwQ

(車田さんのブログは以下のリンクです。https://kazuhisakurumada.com

車田さんは国立音楽大学声楽家を卒業後、都立高校音楽科教諭として4年間勤務後退職して渡独。ブレーメン芸術大学を卒業後、現在、ドイツでオペラ歌手として活躍中とのことです。

このシリーズには1本20分から30分の動画が130本以上あり、名曲を紹介する楽曲解説シリーズ、オペラ解説シリーズ、作曲家を紹介する作曲家紹介シリーズ、演奏家を紹介する大演奏家紹介シリーズなどからなっております。それらのシリーズの中で私のお気に入りは音楽談話シリーズです。このシリーズでは「音楽が伝えるものとは?」、「演奏家の失敗ゆるせますか?」、「クラシック音楽が難しいと感じてしまう理由」、「音楽における解釈って何?」、「芸術性の高い演奏とは?」などプロの声楽家ならではの話を聞くことができとても興味深い内容で勉強になります。今朝も「音大の危機!?音楽を学びたい学生が減ってしまった理由とは?音大生を増やすにはどうすれば良い?」と言う動画を見ましたが、日本の音楽教育の問題(ひいては日本の教育全般の問題としても捉えることができると思いますが)を鋭く論じていました。

すでにクラシック音楽が好き、あるいはこれからクラシックを聞いてみようと言う方にお勧めのチャンネルだと思い紹介させて頂きました。